蝦蛄しゃこ)” の例文
きっと裏口から飛び出す蝦蛄しゃこを押えたりするのもおもしろいものだが、それよりも私の好きなのは、車海老を手捕りにすることだ。
艸木虫魚 (新字新仮名) / 薄田泣菫(著)
お前のその蝦蛄しゃこもののようになった、両手の指を、かわがわってめろと言え。……いずれ剣劇や活動写真が好きだろう。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「もう少し複雑な味をした半熟卵があったら旨かろうな。中にかにえび蝦蛄しゃこなんかが入っていたらさぞ旨かろうな」
平潟は名だたる漁場りょうばである。湾の南方を、町から当面とうめん出島でしまをかけて、蝦蛄しゃこう様にずらり足杭あしくいを見せた桟橋さんばしが見ものだ。雨あがりの漁場、唯もうなまぐさい、腥い。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
蝦蛄しゃこ、幽霊蝦蛄、活烏賊、イカナゴ、擬餌、芋、味噌団子、烏賊の腸、赤虫、秋の魚のブツ切りなどであるが、鯛は自然に生活しているこのほかに榮螺さざえ宿借やどかり、蛤、浅利あさり、蟹、牡蠣かき、ウニ、ユウ
鯛釣り素人咄 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
それを聞くと、ばばは、骨ばった体をらして、蝦蛄しゃこのように暴れた。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
蝦蛄しゃこもいます。
手紙 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
真ばっかりなら、蝦蛄しゃこだって大好きなんだ。六十五歳で十一人うませた親仁おやじだの、その子供だの、またその婿だのを、私が親しいと思えるか、懐しいと思えるか、考えてみるがい。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)