薙立なぎた)” の例文
と無駄足をさせまいため、立たせておいて、暗くならん内早くと急ぐ、跳越はねこえ、跳越え、倒れかかるあし薙立なぎたてて、近づくに従うて、一面の水だと知れて、落胆がっかりした。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「よき敵」と、駆け寄って、十合あまり戦ったが、もろくも薙立なぎたてられて部下もろとも逃げだした。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
拝打おがみうち輪切わぎり袈裟掛けさがけ、はて、我ながら、気がえ、手が冴え、白刃しらはとともに、抜けつくぐりつ、刎越はねこえ、飛び交い、八面に渡って、薙立なぎたて薙立て、切伏せると、ばさばさと倒れるごとに
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あたりは蝙蝠傘かうもりがさかついで、やごゑけて、卍巴まんじともえを、薙立なぎた薙立なぎた驅出かけだした。三里さんり山道やまみち谷間たにまたゞ破家やぶれや屋根やねのみ、わし片翼かたつばさ折伏をれふしたさまなのをたばかり、ひとらしいもののかげもなかつたのである。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)