萬遍まんべん)” の例文
新字:万遍
ガラツ八は吉三郎の家を宵まで見張りましたが、町内の百萬遍まんべんの講中が來たのと、お通夜つやの小坊主が、お義理だけのきやうをあげた外には、何の變りもありません。
かれ學友がくいう誰彼たれかれ萬遍まんべんなく安井やすゐ動靜どうせいいてた。しかだれるものはなかつた。たゞ一人ひとりが、昨夕ゆうべ四條しでう人込ひとごみなかで、安井やすゐによく浴衣ゆかたがけのをとこたとこたへたことがあつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
毎日江戸中のニユースを掻き集めて、八丁堀の組屋敷から、南北兩町奉行所まで、萬遍まんべんなく驅け廻らなきや、足がムズムズして寢つかれないといふ、小判形の八五郎こと、一名順風耳はやみゝのガラツ八です。