ばな)” の例文
「——退くも滅亡、進むも滅亡ならば、突きすすんで、乾坤けんこんてきのなかから、もののふの名と、死にばなを、両手につかみ取って死のうではないか」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひげをそのままの頬のしわで、古手拭をかぶった、影法師のような、穴のばあさんとかいう店で、もう霜枯だから花野は幻になった、水より日向ひなたがたよりらしい、軒につるした坊さんばな
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
悪い烏鳴からすなきを聞いたといっては覚束ながり、神やら仏やら、あれこれと祈りまわるのであろうが、そのうちにはあきらめてから葬式をだし、一本ばなに仏の飯を供え、子供らを仏壇の前に坐らせ
重吉漂流紀聞 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)