荘園しょうえん)” の例文
旧字:莊園
そのあいだ、ガンたちは荘園しょうえんの上をいったりきたりして、犬の言うことを聞いていましたが、犬が一息ひといきつきますと、こうさけびました。
むかしのお城や荘園しょうえんが、みごとに茂った森のなかからちらちらしていました。いろんな鳥のうたいかわす声も聞きました。
そこはバードックきょう荘園しょうえんのある高原こうげんの静かな土地で、荘園ではたらく執事しつじが、じぶんの住居すまいに昼の食事にかえるとちゅう、ころされたのである。
「見たよ。‥‥荘園しょうえんの裏から見た所だなあそれは。山はわし気に入ったども、雲が黒すぎるでねえか」
生まれいずる悩み (新字新仮名) / 有島武郎(著)
彼が、くずれゆく、荘園しょうえん貴族文化の最後の典型的な歌い手と呼ばれる所以は、じつにそこにあります。
「はつ恋」解説 (新字新仮名) / 神西清(著)
勿論、京都宮廷をとりまく貴紳の子弟であるから、官位の昇進を他所よそに見て、いわゆる世を捨てたところで、荘園しょうえんからあがる年貢ねんぐは何のかわりもなく生活を支えてくれる。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
わしがり開いたこの地方の田産でんさんや、諸所にある伝来の荘園しょうえん(官給地)は、お身たちが、管理して、小次郎が成人の後は、牧の馬や、奴婢などと一しょに、そッくり、還してやってくれい。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
有王 世は澆季すえになったと思われまする。平氏はますます栄えはびこり、その荘園しょうえんは天下に半ばし、一族ことごとく殿上てんじょうに時めき「平氏にあらざるものは人にあらず」といわれております。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
国々の荘園しょうえんは荒れに荒れて五穀の実る場所もない。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ユパダールの荘園しょうえんの上や、ロンネビュー町のくらい屋根やねの上や、白いたきの上をこえて、すこしも休まずに、ぐんぐんんでいきました。
社寺の荘園しょうえんなども、年々、侵蝕しんしょくされてゆくばかり……。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ガアガアないたり、笑ったり、いや、そのすさまじいこと、荘園しょうえんの人たちが気がつかなかったのはふしぎなくらいです。
荘園しょうえん地券ちけんの御返上も、とどこおりなく