花漬はなづけ)” の例文
胸痛きまでの悲しさ我事わがことのように鼻詰らせながら亭主に礼いておのが部屋へやもどれば、たちまち気がつくは床の間に二タ箱買ったる花漬はなづけきぬ脱ぎかえてころりと横になり
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
それから飲料いんりょうとしてはさくら花漬はなづけ、それを湯呑ゆのみにれて白湯さゆをさしてきゃくなどにすすめました。
冬の日の木曾路きそじさぞ御疲おつかれに御座りましょうが御覧下されこれは当所の名誉花漬はなづけ今年の夏のあつさをも越して今降る雪の真最中まっさいちゅう、色もあせずにりまする梅桃桜のあだくらべ
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
あじきなく暮らすうちみち産声うぶごえうるわしく玉のような女の子、たつと名づけられしはあの花漬はなづけ売りなりと、これも昔は伊勢いせ参宮の御利益ごりやくすいという事覚えられしらしき宿屋の親爺おやじが物語に珠運も木像ならず
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)