さう)” の例文
藤森氏の文は大家たいかたる宇野氏になん痛痒つうやうも与へぬであらう。だから僕は宇野氏の為にこの文をさうする必要を見ない。
解嘲 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
アヽ罪過が戯曲、小説に於ける地位、かくの如く重要なり。あへて罪過論をさうして世上のアンチ罪過論者にたゞす。
罪過論 (新字旧仮名) / 石橋忍月(著)
葡萄酒ぶだうしゆの色にさきけりさくらさう
自選 荷風百句 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
旦暮たんぼに死するもまた瞑目めいもくすと言ふべし。雨後うご花落ちて啼鳥ていてうを聴く。神思しんしほとん無何有むかうさとにあるに似たり。即ちペンを走らせて「わが家の古玩」の一文をさうす。
わが家の古玩 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
僕は佐藤、三宅両氏の議論を読み、僕の批評に序文をつける為にとりあへずこの文章をさうすることにした。
いささこころよきを覚ゆ。床上「澀江抽斎しぶえちうさい」を読む。嘗て小説「芋粥いもがゆ」をさうせし時、「ほとんど全く」なる語を用ひ、久米に笑はれたる記憶あり。今「抽斎」を読めば、鴎外おうぐわい先生もまた「殆ど全く」の語を用ふ。
かたがた僕は小閑を幸ひ、色目の辯をさうすることとした。
解嘲 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)