)” の例文
しかし百余年前の文化三年に、笠利方かさりがたの名士当済とうさいという人が、舟をし同志をとものうて、って見てきたのは確かに今日の大東島であった。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
奴隷たちをはじめ数多あまたの金銀財宝家具家財を積んだ巨船をして、何処いずくへともなく羅馬を脱去してしまいました。
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
それから実際十日ばかりすると、王生は例の通り舟をして、川下かわしもの松江へ下って行った。
奇遇 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
五月十二日に枕山は竹内雲濤、大沢順軒らと共にすべて四人、舟を柳橋にして月を賞した。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
香以は旧交をたずねて玄魚、魯文の二人を数寄屋町すきやちょうの島村半七方に招いた。取持には有中、米八が来た。宴を撤してから舟を鞘町河岸さやちょうがしし、松井町の稲本に往った。小稲花鳥はもういなかった。
細木香以 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
曰く、和蘭オランダ国王は、軍艦をして、開国和親の忠告書をもたらしたる特命使節を派遣すべし、曰く、英仏こもごも琉球に迫り、交易を促がす。れかこの際において、身をぬきんで、その措置に任ずるものぞ。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
川のほとりにモコウが、ボートをして一行を待ちうけていた。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
そこで足名椎はむを得ず、部落の若者たちと共に舟をして、遠い部落からこの岩の上まで、櫛名田姫を運んで来たあと、彼女一人を後に残して、帰って行ったと云う事であった。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
丹羽、内藤、岡ノ三士及ビ僧円桓えんかんモマタついデ至ル。談ヲほしいままニシテさかずきバス。時ニ泥江豊原生トはかリ余ノタメニ舟ヲ堀川ニス。毅堂曰ク藩禁アリ舟ヲ同ジクスルヲ得ズ。君カツ留レト。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)