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船舷
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ふなべり
船舷に頬杖を突いて一眠りした蒔蔵は
痺れたような疲れもすっかり
癒った。やる瀬ない気持ちだけが残った。
又
下る時には今にも奈落の底へ
墜入りますかと思う程の有様で、実に山三郎も
迚ももういかんと心得ましたから、只
船舷に
掴って、船の沈んではならんと
垢を
掻出すのみで
国芳画中の女芸者は濃く荒く
紺絞の
浴衣の腕もあらはに猪牙の
船舷に
肱をつき、憎きまで
仇ツぽきその
頤を
支へさせ、
油気薄き
鬢の毛をば河風の吹くがままに
吹乱さしめたる様子には
顎十郎は、
船舷へだらしなく頬杖をついて
伴「そうですねえ、
船舷で
煙管を叩くと
能く
雁首が川の中へ落っこちて困るもんですねえ」