トップ
>
肱掛
>
ひじかけ
ふりがな文庫
“
肱掛
(
ひじかけ
)” の例文
私が応接間をのぞいてみると、奥の
肱掛
(
ひじかけ
)
椅子に腰を下して、タバコを右手に持ちあげて、例のマネキ猫の恰好で目をとぢて考へてゐる。
散る日本
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
ウイレム夫人は、自由で真直ぐなただの
椅子
(
いす
)
よりも、
肱掛
(
ひじかけ
)
椅子の底に埋っていたほうが楽ではないかと考えている。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
それからまた身を起し、
肱掛
(
ひじかけ
)
に片腕を置いてじっと前の卓上をながめている前には、長さ二尺に幅四寸ほどの小形の蒸気船の模型が一つ置いてあります。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
安楽椅子、
肱掛
(
ひじかけ
)
椅子などにも、わざとならぬ時代が付いて、部屋の中に落着いた空気が漂っている。窓ごとに、房のついた
鳶色
(
とびいろ
)
の
緞子
(
どんす
)
の窓掛が重々しく垂れている。
第二の接吻
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
しかしこんどは、クリストフは
椅子
(
いす
)
の
肱掛
(
ひじかけ
)
から両手を離さないで、もう動くのは
嫌
(
いや
)
だと言ってのけた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
▼ もっと見る
門野の着ている白地の
浴衣
(
ゆかた
)
だけがぼんやり代助の眼に
入
(
い
)
った。夜の明りは二人の顔を照らすには余り不充分であった。代助は掛けている
籐椅子
(
といす
)
の
肱掛
(
ひじかけ
)
を両手で握った。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
窓の
肱掛
(
ひじかけ
)
へもたれて、女の憂鬱を慰める責任も感じないように、思案橋の往来をながめていた。
治郎吉格子
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
真斎は、たまりかねたらしく、
肱掛
(
ひじかけ
)
を握った両手が怪しくも
慄
(
ふる
)
え出した。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
右の
肱掛
(
ひじかけ
)
の少し上にスイッチがあった。それをひねれというのだ。
宇宙尖兵
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それは
胡床
(
こしょう
)
と
肱掛
(
ひじかけ
)
でした。胡床はつまり椅子です。お天気の日、女はこれを外へ出させて、
日向
(
ひなた
)
に、又、木陰に、腰かけて目をつぶります。
桜の森の満開の下
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
そういうと、京子は、壁際にあった
肱掛
(
ひじかけ
)
椅子を引きよせて、村川と相対して腰をかけた。
第二の接吻
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
津田は長椅子の
肱掛
(
ひじかけ
)
に腕を
載
(
の
)
せて手を額にあてた。彼は
黙祷
(
もくとう
)
を神に捧げるようなこの姿勢のもとに、彼が去年の暮以来この医者の家で思いがけなく会った二人の男の事を考えた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そしてまた同時に、一つの敷物も画面も美術品も
肱掛
(
ひじかけ
)
椅子もないこの無装飾な室が示してるとおり、彼が生活の安楽ということにたいしてまったく
無頓着
(
むとんじゃく
)
なのを、彼女は面白がった。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
肱
漢検準1級
部首:⾁
8画
掛
常用漢字
中学
部首:⼿
11画
“肱掛”で始まる語句
肱掛椅子
肱掛窓