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肯
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がへん
ふりがな文庫
“
肯
(
がへん
)” の例文
然るに當日寫眞機を携ふる新聞記者は警護の者の制止するを
肯
(
がへん
)
ぜずして闖入する事の出來ぬ境に
闖
(
ちん
)
入して俳優の演技を撮影せんとした。
十年振:一名京都紀行
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
然るにこれを受けたものが多く紙価を寄せてこれに報いた。達夫等は刻費を
償
(
つぐの
)
つて余財を獲、霞亭に呈した。霞亭は受くることを
肯
(
がへん
)
ぜなかつた。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
新公は亦さう云ふ羽目にも、彼女が投げ出した体には、指さへ触れる事を
肯
(
がへん
)
じなかつた。その動機は何だつたか、——それも彼女は知らなかつた。
お富の貞操
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ロダン翁
丈
(
だけ
)
は多年
此処
(
ここ
)
で製作し慣れて気に合つた家であり、又何かと老芸術家の心に思ひ出も深い家であるから
立退
(
たちの
)
く事を
肯
(
がへん
)
ぜずに
今日
(
けふ
)
まで住んで居る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
造化
(
ネーチユア
)
は人間を支配す、然れども人間も亦た造化を支配す、人間の中に存する自由の精神は造化に黙従するを
肯
(
がへん
)
ぜざるなり。造化の
権
(
ちから
)
は大なり、然れども人間の自由も亦た大なり。
内部生命論
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
▼ もっと見る
併し彼はお雪伯母が頻りに勧めるにも拘らず、家の入口や便所の位置を換へることを
肯
(
がへん
)
じなかつた。多少の負け惜しみもあつたが、尚行者の言ふことには半信半疑であつたのである。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
常に不幸であることを
肯
(
がへん
)
じて以来、僕は誠に幸福だ。僕には欠けてゐるものが多い、巨万の富の豁達さも、世の恋人達の愛情も、放蕩者の快楽慾も僕にはなかつたと、さう君は思はないか。
独語:――癩文学といふこと――
(新字旧仮名)
/
北条民雄
(著)
寄住者は永久に退去するを
肯
(
がへん
)
ぜざるものゝ如し。
鱷
(新字旧仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
しかしその嫉妬や羨望を自認することは
肯
(
がへん
)
じなかつた。それは彼等の才能を軽蔑してゐる為だつた。けれども貧困に対する憎悪は少しもその為に変らなかつた。
大導寺信輔の半生:―或精神的風景画―
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それは幕政の局に当つて財況其他の実情を知悉し、夷の
攘
(
はら
)
ふべからず、戦の交ふべからざることを知つてゐたからである。しかし此に於ては漢方より洋方に遷ることを
肯
(
がへん
)
ぜなかつた。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「
止
(
と
)
まれ」の声と共に決闘は終つた。医師は急いで両君に繃帯を施し、立会人等は
官衙
(
くわんが
)
へ差出す始末書を
認
(
したゝ
)
めて署名した。
併
(
しか
)
しカイアヹエ君とマス君とは
此
(
この
)
決闘に
由
(
よ
)
つて満足するを
肯
(
がへん
)
じない。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
肯
常用漢字
中学
部首:⾁
8画
“肯”を含む語句
首肯
肯分
肯定
肯入
肯綮
北爾肯州
受肯
弁肯
御肯入
御首肯
肯定者
肯諾
肯首
首肯点頭