耶馬台やまと)” の例文
旧字:耶馬臺
訶和郎かわろ卑弥呼ひみこを包んだ兵士つわものたちは、君長ひとこのかみに率いられて、遠巻きに鹿の群れを巻き包んで来た耶馬台やまとの国の兵士であった。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
朝光あさかげ雲居くもゐ立ち立ち、夕光ゆふかげうしほ満ち満つ。げにここは耶馬台やまとの国、不知火しらぬひや筑紫潟、我がさとは善しや。
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
彼は焦燥しながらつるにわとり山蟹やまがにの卵を食べ続けるかたわら、その苛立いらだつ感情の制御しきれぬ時になると、必要なき偵察兵を矢継早やつぎばやに耶馬台やまとへ向けた。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
山門やまとはもうまし耶馬台やまと、いにしへの卑弥乎ひみこが国、水清く、野の広らを、稲ゆたに酒をかもして、菜はさはに油しぼりて、さちはふや潟の貢と、うづの貝・ま珠・照るはた。見さくるやわらべが眉に、霞引く女山ぞやま・清水。
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
夜が深まると、再び濃霧が森林や谷間から狩猟の後の饗宴に浮れている耶馬台やまとの宮へ押し寄せて来た。場庭ばにわの草園では、霧の中で焚火たきびが火の子をはじいて燃えていた。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
あがうしほ明るき海のきはうまし耶馬台やまとぞ我の母国おやぐに
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)