)” の例文
お節句の菖蒲しょうぶを軒から引いたくる日に江戸をたって、その晩はかたの通りに戸塚に泊って、次の日の夕方に小田原のしゅくへはいりました。
半七捕物帳:14 山祝いの夜 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ひとことでいえば、わたしはくる朝レスリーに会ったとき、心配でならなかったのだ。彼はすでに細君に話をしてきたのだ。
(新字新仮名) / ワシントン・アーヴィング(著)
くる日は九時頃にようやく起きた。母は未だ寝ている。台所へ出て見ると外の者は皆また山へ往ったとかで、お増が一人台所片づけに残っている。
野菊の墓 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
柔らかい草原をしとねにする贅沢ぜいたくは、思いも寄らず、睡眠不足がたたって、くる日の登山には、大分こたえた。
火と氷のシャスタ山 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
くる日の夕方、文科の短艇ボートはわざわざ漕ぎ帰る時間を早めて、昨日の農科と同じ時刻に同じコースを三分間力漕して見た。そして敵の艇が思ったよりよく出るのを知った。
競漕 (新字新仮名) / 久米正雄(著)
着いたのは黄昏たそがれ過ぎ、次の日は曇り、そのけの日は大雪で、シャモニーの渓をまのあたり見たのは正月十三日の、それも昼まぢかになってのこと、此宵はサロンのピヤノと、二重窓をあけては
スウィス日記 (新字新仮名) / 辻村伊助(著)
村川は、そのくる日の晩が、待たれた。彼は、会社にいっている間、仕事が少しも手につかなかった。いつもより三十分も早く帰った。夕食をすませた後も、時計の針は、容易に廻らなかった。
第二の接吻 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
くる日イエスはまたエルサレムに来て、宮に入り、その境内にて売買する者どもをい出し、両替えする者の台、鳩を売る者の腰掛を倒し、また器物を持ちて宮の境内を通り抜けするを許さず
キリスト教入門 (新字新仮名) / 矢内原忠雄(著)
それでそのくる日、叔父さんは又雲の話しを続けました。
毎日七日なぬかの間市川へ通って、民子の墓の周囲には野菊が一面に植えられた。そのくる日に僕は十分母の精神の休まる様に自分の心持を話して、決然学校へ出た。
野菊の墓 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
くる日は穂高岳に上るつもりで、朝はやく起きた、宿の女が「飯が出来やしたから、囲炉裏の傍でやって下せえ、いけましねえか」と、畏る畏るしきい越しに伺いに来る、いいとも
梓川の上流 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
そのくる朝のこと、起き上つて、いつもの通り、二階から森を見ると、急に薄ら寒くなつて、羽目板へ押しつけられるやうな気がした、風情のよかつた樫の木が、伐り倒されて
亡びゆく森 (新字旧仮名) / 小島烏水(著)