縄付なわつき)” の例文
旧字:繩付
左の手に縄尻なわじりをとりて舞台へ来り「したに居ろ」といひて縄付なわつきを坐らせ、自分も下手に坐り、鮨桶を置き、肌を入れ鉢巻をとり
光圀は折ふし那珂なか夤賓閣いんひんかくにいたので、庭の砂上に縄付なわつきを曳かせ、自身刀を取って、長作のうしろへ迫ったが、ふと、従士じゅうし中村新八なかむらしんぱちをふり向いて
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「はははは、では女房が御城内へ引っ立てられ、親たちが縄付なわつきになっても、三千両の金は出せないと申すか」
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
れから捨て置けませぬから、甲州屋の家内はうちから縄付なわつきを出すのも厭だと心配をしてはてしがない。
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「承知いたしました」範綱のりつなは迷惑した。しかしこんな縄付なわつきを、二人の使者が曳いて歩けないことは分りきっている。平家の眼の光っている京の往来では——。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
見送りにかこつけて、晁蓋はその後についていき、そして、門長屋から曳きズリ出された縄付なわつきを見て
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
縄付なわつきで引かれて行ったし、浮浪者のむれが、橋の下にはうろうろ見えるし、何っ方を見ても、生きよう、遊ぼう、満たそう、という半獣主義の展開と、その真反対な
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
耀蔵は、附近の自身番じしんばんへ、縄付なわつきを抛り込むように預けて、すぐに前の四つ辻まで駈け戻った。そして、そこらの大通りを中心に縦横に駈け廻って、僚友波越八弥の吉左右きっそうをさがし求めた。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
松明たいまつの火光の中には、大の男の縄付なわつきが見えるし、顔見知りの雷横もいる。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
家康は、縄付なわつきを見て
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)