緑青色ろくしょういろ)” の例文
がっくりと根の抜けた島田まげは大きく横にゆがんで、襟足えりあしに乱れた毛の下に、ねっとりにじんだ脂汗あぶらあせが、げかかった白粉を緑青色ろくしょういろに光らせた
歌麿懺悔:江戸名人伝 (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
鏃は空気の稀薄なるためか空気の乾燥せる山頂にありしがためかさほど深錆とも見えないが、錫杖の頭は非常に奇麗な緑青色ろくしょういろになっております。
越中劍岳先登記 (新字新仮名) / 柴崎芳太郎(著)
二坪ばかりの茶畑があって、緑青色ろくしょういろ厚肉あつにくの葉が、押し合うように盛り上がっていたが、そのかたわらまで歩いて来た時に、嘉門は胸へ腕を組んだ。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
と、呟いていたが、それからまた一丁ばかり堤の上を歩いて行くと、赤松林の向うに緑青色ろくしょういろ唐瓦とうがを置いた棟のった支那風の建物が見えて来た。
空が曇っているから、海はにえ切らない緑青色ろくしょういろを、どこまでも拡げているが、それと灰色の雲との一つになる所が、窓枠の円形を、さっきから色々なげんに、切って見せている。
Mensura Zoili (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ともしび一つに附着合くッつきあって、スッと鳥居をくぐって来たのは、三人ひとしく山伏なり。白衣びゃくえに白布の顱巻はちまきしたが、おもてこそは異形いぎょうなれ。丹塗にぬりの天狗に、緑青色ろくしょういろ般若はんにゃと、つら白く鼻の黄なる狐である。
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「いや、見失ってはならぬぞ、あの、緑青色ろくしょういろしたとびが目当じゃ。」
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)