綾織あやおり)” の例文
縞柄しまがらのとり方にもおのずから道がありますが、共に平織ひらおり綾織あやおりも見られます。分厚い綾織でその名を成したのは「八反はったん」であります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
木綿もめんや毛織物の濫用、綾織あやおり木綿はこの国の湿暑に適しなかったと思うが、それをまだ肯定も否定もできぬ程度の、日本の生理学の進歩である。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
綾織あやおりの帯で、塩瀬紺無地のはかまふさついた、塗柄の団扇うちわを手まさぐる、と、これが内にいる扮装ふんそうで、容体が分りましょう。
白花の朝顔 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
織方も様々で、浮織うきおりといって、模様の部分を浮き糸にさせるものや、綾織あやおり絽織ろおりや、変化が多いのであります。「みんさあ」と呼ぶ帯の織方も特色を見せます。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
脚気かっけと白米食との関係を調査し、それが今日のヴィタミン研究の刺戟しげきしたようだが、右の木綿の方は細糸綾織あやおりの流行が新しいから、是と呼吸器病との関係までは
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
湿気の多い島国の暑中は、裸でいてすらも蒸発はむつかしいのに、目の細かい綾織あやおりなどでぴたりと体を包み、水分を含ませておく風習などを、どうして我々が真似まねる気になったのであろうか。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
一 遠野郷とほのがうは今の陸中上閉伊かみへい郡の西の半分、山々にて取り囲まれたる平地なり。新町村にては、遠野、土淵つちぶち附馬牛つくもうし、松崎、青笹、上郷かみがう小友をとも綾織あやおり鱒沢ますざは宮守みやもり達曾部たつそべの一町十か村に分かつ。
遠野物語 (新字旧仮名) / 柳田国男(著)
一 遠野郷とおのごうは今の陸中上閉伊かみへい郡の西の半分、山々にて取りかこまれたる平地なり。新町村しんちょうそんにては、遠野、土淵つちぶち附馬牛つくもうし、松崎、青笹あおざさ上郷かみごう小友おとも綾織あやおり鱒沢ますざわ宮守みやもり達曾部たっそべの一町十ヶ村に分かつ。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
さて遠野の町と猿ヶ石川を隔つる向山むけえやまという山より、綾織あやおり村の続石つづきいしとて珍しき岩のある所の少し上の山に入り、両人別れ別れになり、鳥御前一人はまた少し山を登りしに、あたかも秋の空の日影
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)