素裸体すっぱだか)” の例文
賭博に負けると裸体はだかで歩いたもので、只今はおやかましいから裸体どころか股引もる事が出来ませんけれども、其の頃は素裸体すっぱだかで、赤合羽あかがっぱなどを着て
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
裸体はだかズレがしているルンペン様だから恥かしい事はないよ。素裸体すっぱだかの方が気楽でいいんだ。ついで生命いのちの洗濯をさしてやろう。面白い話があるんだから……
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
中には、気早にも、もう素裸体すっぱだかになって、汚らしい水に飛び込む、野蛮人みたいな腕白わんぱく小僧達もあった。
猟奇の果 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
その剣は、豚を突殺すのに使ったり、素裸体すっぱだかに羽毛をむしり取った鵞鳥の胸をたち割るのに使って錆させたのだ。血に染った剣はふいても、ふいてもすぐ錆が来た。
パルチザン・ウォルコフ (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
我々の頭上の岩の頂から、素裸体すっぱだかのお小夜が海へ向かって飛び込みをやった形なのさ。
十二神貝十郎手柄話 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
と云いながら、やがて三人がの白い物のとこへ近附いて見ると、大杉の根元のところに一人の僧が素裸体すっぱだかにされて縛られていまして、わきの方に笠が投げ出して有ります。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それから素裸体すっぱだかになって、外套や服はもとより、ワイシャツから猿股さるまたまで検査した。どこにも異状のないことをたしかめてから、モトの通りに着直した。少々寒かった。
けむりを吐かぬ煙突 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
……二人は雪の中で素裸体すっぱだかにされて立たせられた。二人は、自分達が、もうすぐ射殺されることをさとった。二三の若者は、ぬがした軍服のポケットをいち/\さぐっていた。
雪のシベリア (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
そして、経帷子で指環を小さくくるみ、懐中にねじ込むと、足許あしもとにころがっている、素裸体すっぱだか肉塊にくかいを、さも面倒臭めんどうくさ相に、手と足を使って、新しく掘った墓穴の中へ、落しこんだのです。
パノラマ島綺譚 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
……素裸体すっぱだかとは呆れたなあ。……珠太郎殿、お解りですか、あいつは女ではありませんよ。……オイ——勘介、女勘介、他の連中にも云ってやれ、まごまごみよし屋の寮なんかにいるなと! ……
十二神貝十郎手柄話 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
素裸体すっぱだかのまま曲った足を突張って、一足いっそく飛びに入口の近くまで来た。それと同時に
いなか、の、じけん (新字新仮名) / 夢野久作(著)
連隊中の顔を知らない者はない高取は、のんきげに、素裸体すっぱだかの一等卒にきいた。
武装せる市街 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)