空籠からかご)” の例文
それは、甲板上のウインチ機械によってまき上げられる。空籠からかごが降りて来る。それに、また、満たす。大籠は三つあって、次々に、廻転していた。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
空荷からにで歩くとかえって寒くてたまりません、女中衆一人ぐらいなん空籠からかごより楽でござんす、ねえ旦那、乗って下せえな
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
幾羽もいる籠へ、しなびた手をあらあらしく差し込んで、二羽つかみ出して、空籠からかごに移し入れるのである。それでめすおすが分かるかと云えば、しぶしぶ「へえ」と返事をした。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
昨夜、台所の竈台へっついだいの下の空籠からかごの中で、犬のピンがうめいたりさけんだりして居たが、到頭四疋子を生んだ。茶色ちゃいろが二疋、くろが二疋、あの小さな母胎ぼたいからよく四疋も生れたものだ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
……頬被ほおかむりしたお百姓、空籠からかごにのうて行違ゆきちがう。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)