穂積ほづみ)” の例文
旧字:穗積
しばらく何もいうまいということになったが、牧野、穂積ほづみ両博士が興味をもっているとあり、投書の「鉄箒てつそう」欄が段々やかましくなっている。
柳原燁子(白蓮) (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
その時幕は悠々と、盛んな喝采かっさいを浴びながら、舞台の前に引かれて行った。穂積ほづみ中佐はその機会に、ひとり椅子いすから立ち上ると、会場の外へ歩み去った。
将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
な巧みそ歌に遊ぶと、早や選りそことのをかしと。心にぞはじめて満ちて、匂ひるそのほかならし。遊びつつたや忘れよ、そのいのちいのちとをせよ、穂積ほづみきよし
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
この浪人者をどんなにして救済したかといふ問題を提示したのは穂積ほづみ陳重博士。
この穂積ほづみという家は、と県で三軒と云われた豪家の一つである。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
是なども穂積ほづみという古い名の変化のはてらしく私には想像せられる。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
将軍に従った軍参謀の一人、——穂積ほづみ中佐ちゅうさくらの上に、春寒しゅんかん曠野こうやを眺めて行った。が、遠い枯木立かれこだちや、路ばたに倒れた石敢当せきかんとうも、中佐の眼には映らなかった。
将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
それはどこからって来たか、生々なまなましい実際の葉柳だった。そこに警部らしいひげだらけの男が、年の若い巡査をいじめていた。穂積ほづみ中佐は番附の上へ、不審そうに眼を落した。
将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)