種痘しゅとう)” の例文
みなさんは、風呂ふろにはいったとき、きっと、自分の二のうでについている三つ四つの、種痘しゅとうのあとに注意したことがありましょう。
ジェンナー伝 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
種痘しゅとうとか、解剖とかいう、新しい医術を以て重んぜられ、また種々の西洋医学書を同列の医師たちに講じたりして隆々たる名を持っていた。
城中の霜 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「ぐじゃっぺは菊石面あばたづらのことです。行って見たら痘痕があるからいやだというのです。種痘しゅとう以前からある歌と見えますな」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
今年は大分流行はやったなというのであるが、是なども種痘しゅとうが普及してしまうと、もうこの句によらなければ思い浮べられぬ光景であり、またその祭の行列の一番後には
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
今じゃあ種痘しゅとうと云いますが、江戸時代から明治の初年まではみんな植疱瘡うえぼうそうと云っていました。その癖が付いていて、わたくしのような昔者むかしものは今でも植疱瘡と云っていますよ。
半七捕物帳:56 河豚太鼓 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
其の都度つどヒヤリとして、針のさきで突くと思ふばかりの液体を、其処此処そこここしたたらすから、かすかに覚えて居る種痘しゅとうの時を、胸をくが如くに思ひ起して、毒を射されるかと舌がこわばつたのである。
蠅を憎む記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
お医者にたのんで、全員の健康診断をしてから、種痘しゅとうをしてもらった。船でお医者のかわりをするのは、船長の私だ。そこで、船で必要な薬品や、医療器具を、じゅうぶんにそなえつけた。
無人島に生きる十六人 (新字新仮名) / 須川邦彦(著)
その前日去年生れた赤子の種痘しゅとうを近日するという印刷物が姉の家へも配られた。久吉とおりかは別に掛り医の所でさそうといっていたが、彼はそれさえも出来ることならさせたくなかった。
御身 (新字新仮名) / 横光利一(著)
けれども、そのせわしいあいだにも、種痘しゅとうのことは決してわすれず、また博物学の研究をもおこたりませんでした。
ジェンナー伝 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
天然痘が流行はやって皆学校で種痘しゅとうをしたけれど、僕は病気で休んでいたから、日曜の朝後から一人お願いに上った。先生が僕の腕をアルコールで拭いているところへ
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
なんとみなさん、風呂ふろへはいって、二のうで種痘しゅとうのあとをみたならば、人類の一員としてわがエドワード・ジェンナーに感謝せざるをないではありませんか。
ジェンナー伝 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
冗談じょうだんですよ。ほんとうは種痘しゅとうぐらいのものです」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)