稠密ちゅうみつ)” の例文
関西地方のように早くから人口が稠密ちゅうみつで一村の分限の狭い所では、開墾は奨励してもこれに伴なう分家はこれを制限する必要があった。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
このへんの森はだちょうの森のように稠密ちゅうみつではないが、そのかわりに見るかぎり野草がはえしげって、日の光がまともに照りつけ
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
人口稠密ちゅうみつな街路から群集の波が遠くの仕事場へ流れ出すころ、または夕方、その人波がもどってくるころ、外へ出かけてみた。
ゲネサレはカペナウムより南方、ヘロデ王の居城たるチベリアスに続く細長き沃野よくやで、穀産豊かに、人口稠密ちゅうみつでありました。
荷物を運ぶといっても、人家稠密ちゅうみつの場所とて、まず駒形堂あたりへ持って行くほかに道はない。手当り次第に物を持って、堂の後ろの河岸の空地くうちへと目差して行く。
「実際人口稠密ちゅうみつだろう? この筋が大阪では代表的さ。昔のまゝだから少し狭いけれどもね」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
これもずいぶんと細長い射場を備えた大弓場と並んで、市中人家稠密ちゅうみつの場所を悠々と占領。
明治世相百話 (新字新仮名) / 山本笑月(著)
しかもこれはいつまでも続くわけではなく、人口が稠密ちゅうみつとなって形勢が変わってくると、いつの間にか先の宣言を忘れて、他国を攻撃するにいたるが、実にやむを得ざることである。
人類の生存競争 (新字新仮名) / 丘浅次郎(著)
現在アメリカ東部の人口の稠密ちゅうみつなところで、大多数の国民が、冬の間も新鮮な生野菜が食べられるのは、イムピリアル平原及びその附近の耕地が、重要な役割を果しているからである。
アメリカの沙漠 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
このあたり豊多摩郡とよたまごおりに属し近き頃まで杜鵑花つつじの名所であったが、年々人家稠密ちゅうみつしていわゆる郊外の新開町しんかいまちとなったにかかわらず、射的場のみは今なお依然として原のままである。秋骨君いわ
恐るべき爆鳴が防寨ぼうさいの上に落ちかかった。赤旗は倒れた。そのいっせい射撃はきわめて猛烈で稠密ちゅうみつであって、赤旗の竿さお、すなわち乗り合い馬車のながえの先を、打ち折ってしまったのである。
坂の下は黒暗暗こくあんあんとして何も見えなかった。生垣があり槖駝師うえきやの植木があって、人家は稠密ちゅうみつと云うほどでもないが、それでもかなり人家があるので、の一つも見えないと云うはずがなかった。
馬の顔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
込むとも。東京のよりも込む。東京よりも賑かだと言うと妙だけれど実際此方の方が人口稠密ちゅうみつだからね。往来が雑沓するんで市内電車にしても東京見たいにベルぐらいでは人が避けないから、そのポーッポーッと空気ラッパを
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)