稚子髷ちごまげ)” の例文
すると、すぐ後ろの、源頼政みなもとのよりまさのある中山堂の丘に、白い尾花おばなを折り敷いて、にこにこ笑っている稚子髷ちごまげの顔が、ちらと見えた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
西洋人に日本の郷土色を知せるには便利だろうという実業家の心尽しだった。稚子髷ちごまげに振りそでの少女の給仕が配膳はいぜんを運んで来た。
母子叙情 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
女はまだなんにも言わぬ。とこけた容斎ようさいの、小松にまじ稚子髷ちごまげの、太刀持たちもちこそ、むかしから長閑のどかである。狩衣かりぎぬに、鹿毛かげなるこま主人あるじは、事なきにれし殿上人てんじょうびとの常か、動く景色けしきも見えぬ。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そうするうちに五分刈の綾之助は稚子髷ちごまげになった。また男髷になった。十四、十五と花のつぼみは、花の盛りに近づいていった。明治廿三年には十六歳となった。女義界の綾之助は桜にたとえられた。
竹本綾之助 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
稚子髷ちごまげ
歌時計:童謡集 (旧字旧仮名) / 水谷まさる(著)