神寂かみさ)” の例文
しんとして、神寂かみさびた森の中の、小さな鳥居に階子はしごをかけて、がさり、かさこそと春の支度だろう。輪飾わかざりを掛けていたっけ。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
村から最年少は六つ、最年長十六の間の、十三人の男児は滅亡にひんしている故郷を救うために、やしろのように神寂かみさびたその村をあとに、世の中を目がけて飛び出したのである。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
「昔の歌に、武夫もののふ手向たむけ征箭そやも跡ふりて神寂かみさび立てる杉の一もと、とあるのはこの杉だ」
大沙原おほすなはらは今さらに不動のけはひ、神寂かみさびぬ。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
境内は常磐樹ときわぎのしとりで水を打ったかと思うばかり、ちりひともなしに、神寂かみさびまして、土の香がプンとする、階段のとこまで参りますと、向うでは、待っていたという形。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
波の底にも照る日影、神寂かみさびにたるあけぼの
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
青空せいくうかくも荘厳に、大水だいすい更に神寂かみさびて
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)