石鑿いしのみ)” の例文
のみのようなやいばのついてゐる一寸いつすんぐらゐのちひさい石斧せきふもありますが、これは石斧せきふといふよりも、石鑿いしのみといつたほうてきしてゐるようにおもはれます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
作事小屋には、誰か仕事をしかけて置いてあるらしく、切石がいくつも転がって、石鑿いしのみなども放り出されてありました。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
石鑿いしのみを研ぐよ。二つ目の浜の石屋に頼まれての、今度建立さっしゃるという、地蔵様の石を削るわ。」
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
礁へ石鑿いしのみを打ちこむと、血が出たとか、前日まえのひに欠いであった処が、翌日あくるひ往くと、元の通りになっておったとか、何人たれかが夜遅くよっぱらって、此の上を歩いておると、話声がするから
海神に祈る (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
この二つの石塔が、どことは知らぬ荒草離々たる裾野の中に、まだ石鑿いしのみのあとあざやかに並んでいる。近づいて見ると、その後ろに墓守が二人、しきりに穴掘りをしている。
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
与八は、そのグロテスクな石像を作事小屋に担ぎ込んで、後ろの糸革袋いとかわぶくろの中から取り出したのが金槌かなづち石鑿いしのみです。それを両手に持って、小屋の中へ立てかけた悪女の女人像をじっと見据えました。
大菩薩峠:35 胆吹の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
東妙和尚は石鑿いしのみを地蔵の御衣のひだに入れて直しながら