矩形くけい)” の例文
五七 需要曲線の中に底辺が互に逆数であり、高さがそれぞれの面積に反比例する矩形くけいを挿入することによる幾何学的解。五八 代数的解。
小初は、み台のやぐらの上板に立ち上った。うでを額にかざして、空の雲気を見廻みまわした。軽く矩形くけいもたげた右の上側はココア色に日焦ひやけしている。
渾沌未分 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
それは小さな画で、低い壁のある、平坦へいたんな、白い、切れ目もなければなんの装飾もない、非常に長い矩形くけいあなぐらまたは地下道トンネルの内部をあらわしていた。
側面の矩形くけいにおいて、対角線によって結び付けられた頂点(例えば意気と派手)、直六面体の側稜そくりょうによって結び付けられた頂点(例えば意気と上品)
「いき」の構造 (新字新仮名) / 九鬼周造(著)
家の前面の緑地の周囲に、椰子やしの葉や、荒布で囲われた仮小舎が並び、大きな矩形くけいの三方に土人達が部落別に集まっている。実にとりどりな色彩の服装だ。
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
右の手の肘が矩形くけいをなして、胸の上まで上ったのを、拍子取るように揺るがして、弦四郎の眼を睨み付けた。
生死卍巴 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
矩形くけいの穴がそこに掘られていた。ちょうど「捕虜」の二人が掘り終ったところだった。処刑される二人が、自分の死体を埋める穴を、自分で掘らせられたのだ。
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
江守は何心なくそのブローチを取って見ると、母親らしい年取った婦人の豆写真をはめ込んだ金の矩形くけいの台座は、何んと古風な二分金をそのまま使ってあるではありませんか。
ここの女囚のひとたちのお風呂場をわたしはみせて貰いましたけれど、これは、石の広い土間の真中に、腰高な矩形くけいの浴槽があって、それに背中あわせに三人ずつ、這入るのだそうです。
何故なら、その四つの地点を連ねたものが、ほぼ正確な矩形くけいになって、それがケーニヒグレーツ事件を起した、ボヘミア領を取り囲んでいるからなんだ。ああ、その実数スカラーはなんだろうか。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
数段高く矩形くけいに盛り上げた芝生の上に平たい石を飾ってあるのもあれば、また土を円く盛り上げて、大理石をその土の形に円く畳んであるのもあり、遠くこちら側にもありありと横に入口を見せて
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
工房の外は廻り縁になっていて、矩形くけいの細長い庭には植木も少しはあった。
老妓抄 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
月の下辺したべを、矩形くけいをなして、渡っているその鳥の姿も見えた。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
工房の外は廻り縁になっていて、矩形くけいの細長い庭には植木も少しはあった。
老妓抄 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)