トップ
>
矧
>
は
ふりがな文庫
“
矧
(
は
)” の例文
兄の定綱は、父秀義にも劣らない、矢を
矧
(
は
)
ぐ事の上手であったが、ある夜兄弟して、
夜業
(
よなべ
)
に矢をはいでいるのを、頼朝が見て
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鷹の羽を
矧
(
は
)
いだ古い
征矢
(
そや
)
ですが、矢の根が確りして居り、それがベツトリ血に塗れて、紫色になつて居るのも無氣味です。
銭形平次捕物控:256 恋をせぬ女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
おれの手足がすこやかになったら、太刀の
柄
(
つか
)
巻きしても、
雀弓
(
すずめゆみ
)
の矢を
矧
(
は
)
いでも、親子ふたりの口すぎには事欠くまい。はは、今すこしの辛抱じゃ
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それから犀鳥が蛇を見れば必ず殺し虎を見れば必ず叫んで追い去らんとす。故に虎を射る場合に限り犀鳥の羽を
矧
(
は
)
いだ矢を用いてこれに
厭
(
まじない
)
勝つのだ。
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
一挺の櫓と一枚か二枚の
継
(
つ
)
ぎ
矧
(
は
)
ぎ
帆
(
ほ
)
で、自由自在に三十六
灘
(
なだ
)
を突破しながら、「絶海遥かにめぐる赤間関」と来る。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
黒板塀に黒鉄の忍返し、姫小松と黒部を
矧
(
は
)
ぎつけた
腰舞良
(
こしまいら
)
の枝折戸から根府川の飛石がずっと泉水のほうへつづいている。桐のずんどに
高野槇
(
こうやまき
)
。かさ木の梅の苔にもさびを見せた
数寄
(
すき
)
な庭。
顎十郎捕物帳:02 稲荷の使
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
その病友の生涯と死に対し、伯母の提言はあまりに月並な世俗の義理である。どう
矧
(
は
)
ぎ合わしても病友の生涯の継ぎ伸ばしにはならない。伯母のいう末の娘とて自分に取り何の魅力もない。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「なんでもないこと、それは航で」「いかにも航だ。ではここは?」「へい、
弦
(
つる
)
でございます。そうしてその下が中入れで、そうしてその上が弦押しで」「
矧
(
は
)
ぎ付きというのはどのへんだな?」
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
見よ白鳩の
羽
(
はね
)
を
矧
(
は
)
ぎて
草わかば
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
後で調べてみると、鷹の羽を
矧
(
は
)
いだ
箆深
(
のぶか
)
の
真矢
(
ほんや
)
で、白磨き二寸あまりの矢尻には、松前の人々が使うという「トリカブト」の毒が塗ってあったということです。
銭形平次捕物控:001 金色の処女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
後で調べて見ると、鷹の羽を
矧
(
は
)
いだ
箆深
(
のぶか
)
の
眞矢
(
ほんや
)
で、白磨き二寸あまりの
矢尻
(
やじり
)
には、松前のアイヌが使ふと言ふ『トリカブト』の毒が塗つてあつたと言ふことです。
銭形平次捕物控:001 金色の処女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それは少し虫が付いてをりますが、鷹の羽で
矧
(
は
)
いだ見事な征矢で、
錆
(
さ
)
びたりと言ひながら、矢尻も本物、これで喉笛を射られたら、まさにひとたまりもなかつたでせう。
銭形平次捕物控:195 若党の恋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
矧
(
は
)
いだ眞矢が、弓がなくて射られるわけがありません
銭形平次捕物控:248 屠蘇の杯
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
矧
漢検準1級
部首:⽮
9画
“矧”を含む語句
矢矧
矢矧川
矧川
箭矧
本矧
矢矧橋
矢矧衆