相愛あひあい)” の例文
その罪のゆゑに男は苦み、その苦の故に女は憂ふるとば、彼等は誠に相愛あひあいするの堅き者ならず
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
舞台は相愛あひあいする男女の入水じゆすゐと共に𢌞まはつて、女のはう白魚舟しらうをぶね夜網よあみにかゝつて助けられるところになる。再びもとの舞台に返つて、男も同じく死ぬ事が出来できなくて石垣いしがきの上にあがる。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
陸軍中佐なる人の娘と相愛あひあいして、末の契も堅く、月下の小舟をぶねに比翼のかひあやつり、スプレイの流をゆびさして、この水のつひるる日はあらんとも、我が恋のほのほの消ゆる時あらせじ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
春子はフオオト夫人の弟なる若いジエヱムスと相愛あひあいしてゐて遂に婚約の意志を發表した。其の爲め春子の兩親はフオオト夫人の監督の行き屆かない事を攻めて春子を早速實家に引取つてしまつた。
新帰朝者日記 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)