白孔雀しろくじゃく)” の例文
と断わったことがあったが、吉井勇よしいいさむさんが編纂へんさんした、武子さんの遺稿和歌集『白孔雀しろくじゃく』のあとに、柳原燁子やなぎはらあきこさんが書いていられる一文に
九条武子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
それがしきりとわたしに白孔雀しろくじゃくひなを買えとすすめるのですから、わたしはお伽噺とぎばなしみたようなその夜の空気がへんに気に入ってしまったのです。
オカアサン (新字新仮名) / 佐藤春夫(著)
胸に、黄金こがね十字架クルスをかけていた。たった今、庭園で狂わしく啼いていた白孔雀しろくじゃくの姿を、少斎はそのまま想い出していた。
蘭陵らんりょうの酒を買わせるやら、桂州けいしゅう竜眼肉りゅうがんにくをとりよせるやら、日に四度よたび色の変る牡丹ぼたんを庭に植えさせるやら、白孔雀しろくじゃくを何羽も放し飼いにするやら、玉を集めるやら、にしきを縫わせるやら
杜子春 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
その玉造の第宅ていたくの園には、桃山造りの殿楼にふさわしい白孔雀しろくじゃくなども飼育されていたが、同じ園内に、一むねの長屋が建てられて、そこには汚い町の子や嬰児あかごがたくさん養われていた。
わたしはあなたのためならば、どんな仕事でもして見せます。伏見の城の白孔雀しろくじゃくも、盗めと云えば、盗んで来ます。『さん・ふらんしすこ』の寺の鐘楼しゅろうも、焼けと云えば焼いて来ます。
報恩記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
遺稿和歌集の『白孔雀しろくじゃく』をとって見ると
九条武子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
足はみな裸足だが獣骨の足環あしわをはめ、半身の赤銅のような皮膚をき出しているが、腕くびに魚眼や貝殻の腕環うでわをなし、紅毛碧眼へきがんの頭には、白孔雀しろくじゃく極楽鳥ごくらくちょうの羽根を飾って、怪美なこと
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)