発意ほつい)” の例文
可哀そうなのは俊乗で、縛られ地蔵のことも本人の発意ほついでは無し、いわば師匠のわたくしを救うが為に、こんな難儀をして居るのでござります。
半七捕物帳:66 地蔵は踊る (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
誰から別段たのまれたということもなく、まあ自分の発意ほついから仲のい友達同士が道楽半分にやり出した仕事ですから、別に小言こごとの出る心配もなし
大九郎の発意ほついで、いたらこのあいだのことを揶揄やゆしてやろうぐらいな考え、伊賀組いがぐみ屋敷やしきへおしかけていってみたが
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しょう発意ほついにて山本憲やまもとけん氏にはかり、同氏の塾生として一家を借り受け、これをば梅清処塾ばいせいしょじゅくの分室と称しぬ。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
著書飜訳一切独立また維新前後は私が著書飜訳ほんやくつとめた時代で、その著訳書の由来は福澤全集の緒言ちょげんに記してあるからこれを略しますが、元来がんらい私の著訳は真実私一人の発意ほつい
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
己は即日世間へ出て、その千態万状の間に己の楽を求めようと発意ほついした。先づ己の第一の最愛の友たるお前を回抱くわいはうして別を告げた。次にバルビさんに暇乞をした。それから銀行へ往つた。
復讐 (新字旧仮名) / アンリ・ド・レニエ(著)
命ぜられてから発意ほついして催したものなるが故に
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)