畳数たたみかず)” の例文
旧字:疊數
判然はっきりすすの中に、塵を払ってくっきりと鮮麗あざやかな姿が、二人が机に向った横手、畳数たたみかず二畳ばかりへだてた処に、寒き夜なれば
霰ふる (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
洞穴の四方の壁は花崗岩かこうがんで、すこしの湿気しっけもなく、また海からの潮風もふせぐことができる、内部は畳数たたみかず二十三枚だけの広さだから、十五人の連盟れんめい少年を、いれることができる。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
この部屋の位置を言うと、この下宿に取っては表二階で、畳数たたみかずは八畳だか六畳だか、其処そこのところはよく解らないが、何でもこの友達同志二人の学生は、この部屋に寝起きしていたのだ。
白い光と上野の鐘 (新字新仮名) / 沼田一雅(著)
畳数たたみかずは何十枚だか知らないがはるかの突き当りまで敷き詰めてあって、その間には一重ひとえの仕切りさえ見えない。ちょうど柔道の道場か、浪花節なにわぶしの席亭のような恰好かっこうで、しかも広さは倍も三倍もある。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
勝手に帰つて御覧なさいと、も軽蔑をしたやうに、あは、あは笑ふと両方のえんへふたつに別れて、二人の其の侍女こしもとが、廊下づたひに引込むと、あとはがらんとして畳数たたみかず十五じょうも敷けようといふ
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)