りゃく)” の例文
十八の茶々の君のそうした佳麗かれいさが、秀吉の眼をひかないわけはない。この道にかけても、六韜りくとうの奥の手、三りゃくの妙に通じている主人である。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
左れば一家の妻をして其品行を維持せしめんとするには、主人先ず自から其身を正うして家風を美にするに在り。籠の鳥の主義はりゃくの最も卑近なるものにして、我輩の感服せざる所なり。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「繃帯ぐらい、わしは知っているよ。繃帯のことをりゃくして鉢巻きというんじゃ」
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
不正の英雄は抜山倒海ばつざんとうかいの勇あるももって尊敬することはできません、武王ぶおう紂王ちゅうおうを討った、それは紂王ちゅうおうが不正だからである、ナポレオンは欧州をりゃくした、それは国民の希望であったからである
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
若くして、禅味をふくみ、才識さいしきのひらめき、三りゃく学胆がくたん、すでに彼は、名将のうつわと、一般から見られていたが——こんな事にもびくともおどろかずにいられるほどな偶像的人格ではない。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)