かれ)” の例文
豊雄夢のさめたるここちに、二九八礼言ゐやこと尽きずして帰り来る。金忠にむかひて、此の年月かれまどはされしは、おのが心の正しからぬなりし。
かれをやすくすかしよせて、これをもてかしら打被うちかずけ、力を出して押しふせ給え、手弱たよわくあらばおそらくは逃去らん」と云った。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
法師もやがまうでなんとて、三七七芥子けしにしみたる袈裟けさとり出でて、庄司にあたへ、かれ三七八やすくすかしよせて、これをもてかしらに打ちかづけ、力を出して押しふせ給へ。
翁これを納めて、二九三祝部はふりらにわかちあたへ、みづからは一むらつみをもとどめずして、豊雄にむかひ、二九四かれなんぢ秀麗かほよきたはけて二九五你をまとふ。你又かれかりかたちまどはされて二九六丈夫ますらを心なし。