生姜しやうが)” の例文
生姜しやうがパンを上げようか、それとも詩篇を覺えた方がいゝかと、くと、きつと『詩篇! 天使のうたふ詩篇、』と彼は云ふ。
九、室生犀星むろふさいせい碓氷うすひ山上よりつらなる妙義めうぎ崔嵬さいくわいたるを望んでいはく、「妙義山めいぎさんと言ふ山は生姜しやうがに似てゐるね。」
病牀雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
御馳走はほんの小鰺こあぢが十匹だけあつたものを焼いて、生姜しやうがの汁をさした三ばい酢に漬けたのと、しんぎくの胡麻汚しのおしたしと、たつたそれだけしかないのであつた。
桑の実 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
新田しんでん太郎兵衞たろべゑがうまいことつた。小助こすけふさぐなら蚯蚓みゝずせんじてませろと。なにが、くすりだとすゝめるものも、やれ赤蛙あかがへることの、蚯蚓みゝずことの、生姜しやうがれずの煎法せんぱふで。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
生姜しやうがの赤漬
我が愛する詩人の伝記 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
後程裏口で生姜しやうがの余つたのを土の中へ入れてゐると、青木さんが入らつしてお聞きになる。
桑の実 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
僕は室生犀星氏と一しよに碓氷うすひ山上の月を見た時、突然室生氏の妙義山を「生姜しやうがのやうだね」と云つたのを聞き、如何にも妙義山は一塊の根生姜にそつくりであることを発見した。