もっとも)” の例文
「恐らく神隠しに会ったのであろう」「いや天狗にさらわれたのであろう」——などと人達は云い合ったが、これまた云う方がもっともであった。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
こりゃもっともだ。実はてまえの方が思いがけないんで。お顔を覚えておりません。誰方どなた、という挨拶で、ちと照れましたがな。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
歴史的に研究をして見れば、そういう陋信に捉えられたことも、一応もっともと頷かれるものの、もう今日では通用しまい。
小酒井不木氏スケッチ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
雑誌「苦楽」がこれを呼び物にしたのはまこともっともだと思いました。「疑問の黒枠」は完結してから「『疑問の黒枠』細評」というようなものを書いて見たいと思って居ります。
印象に残った新作家 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
……だが面白いじゃアありませんか、今も猶太ユダヤの人間は、私がお話ししたように、キリストとユダとマリアとをそう解釈しているのですよ。そうして銀貨まで拵えて、もっともらしく売り付けるのです。
銀三十枚 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「あッ」と三人はそれを聞くとほとんど同時に叫びを上げたが、それは驚くのがもっともである。掛け声、矢走り、弦返つるがえり、それが寸分の隙さえなく日置流へきりゅう射法の神髄にピタリとまっているからである。
日置流系図 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「これはごもっとも、お話し致しましょう」そこでお絹話し出した。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)