牝牡めすおす)” の例文
昼間のあいだに騒ぎつかれて夜は静かな鳥や獣の深い眠りを驚かすのは、近頃阿弗利加アフリカから送られて来た二匹の牝牡めすおすの獅子であった。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
大喜おおよろこびでさっそく大ぜいかかりますと、きつねおどろいて、牝牡めすおすきつねはとうとうげてしまいましたが、まだわか小狐こぎつねが一ぴきうしなって、大ぜいにわれながら
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
或いは軽俊にせ違って飛行するのもある。或いは打連れて谷川をかち渡るのもある。或いは子をいたわって丘を上るのもある。或いは牝牡めすおす、むつまじく交尾するのもある。
大菩薩峠:30 畜生谷の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「家では兄さんが姉さんのことを『あなた』と仰有るでしょう。それで松浦のところは夫婦何方も『あなた』だから蔭で聞いていると牝牡めすおすが分らないって仰有ったそうですわ」
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
小舎のなかにはゴルドンらがとらえてきたもののほか、新たにおとし穴でとらえたラマ一頭と、バクスターがイルコックとともに飛びだまで生けどった牝牡めすおす二頭のヴィクンヤがいた。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
そして最後に牝牡めすおす二頭の大きなアシカが残つた。およそ二百貫はあつたらうと言ふ。
東京湾怪物譚 (新字旧仮名) / 佐藤垢石(著)