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片破
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かたわ
ふりがな文庫
“
片破
(
かたわ
)” の例文
霜を含んだ
夜気
(
やき
)
は池の水の様に
凝
(
こ
)
って、上半部を
蝕
(
く
)
い
欠
(
か
)
いた様な
片破
(
かたわ
)
れ月が、
裸
(
はだか
)
になった雑木の
梢
(
こずえ
)
に蒼白く光って居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
蕙蓮
(
けいれん
)
を
妾
(
めかけ
)
にしたと云っても、帝国軍人の
片破
(
かたわ
)
れたるものが、戦争後すぐに敵国人を内地へつれこもうと云うんだから、人知れない苦労が多かったろう。
奇怪な再会
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
思案に暮れた
独言
(
ひとりごと
)
に、この夜中で応えるのは、死んだ嫁が清元のさらいで貰った引き幕の
片破
(
かたわ
)
ればかりだ。
街
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
紺色になった
馬掛
(
まかけ
)
の
𡽶
(
はな
)
から水鳥が二羽三羽すうと
金色
(
こんじき
)
の空を筑波の方へ飛んで、高浜麻生
潮来
(
いたこ
)
の方角が一帯に薄紫になって、
十六島
(
じゅうろくしま
)
の空に
片破
(
かたわ
)
れ月がしょんぼりと出て
漁師の娘
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
それを取り出して中より破って
片破
(
かたわ
)
れを箱に入れ今一つの片破れを男に与えて、これを一度に
仕
(
つか
)
わず要に随うて片端より破って仕いたまわば一生涯乏しき事あらじという
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
▼ もっと見る
「お粂ッ——貴様も拙者にとれば
仇
(
かたき
)
の
片破
(
かたわ
)
れだぞ。お前は知るまいと思っていようが」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
服地の色は
褪
(
さ
)
めて、ゲートルの代りには黄な
羅紗
(
らしゃ
)
を畳んでぐるぐると
脛
(
すね
)
へ巻きつけている。いずれもあらん限りの
髯
(
ひげ
)
を
生
(
は
)
やして、出来るだけ色を黒くしている。これらも戦争の
片破
(
かたわ
)
れである。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そんな日本人の
片破
(
かたわ
)
れに生れたかと思うと情けない。どうぞそんな根性だけは自分の裡にないように。
日記:09 一九二三年(大正十二年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
返さないのは清を
踏
(
ふ
)
みつけるのじゃない、清をおれの
片破
(
かたわ
)
れと思うからだ。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
片
常用漢字
小6
部首:⽚
4画
破
常用漢字
小5
部首:⽯
10画
“片破”で始まる語句
片破月