燔祭はんさい)” の例文
一時の愛と母性というただ二つの偶像に燔祭はんさいとしてささげられて、いたずらに燃えつくしてる、その熱烈豊饒ほうじょうな力をもってる無数の女を
「心を尽くし、知恵を尽くし、力を尽くして神を愛し、また己のごとく隣を愛する」は、もろもろの燔祭はんさいおよび犠牲いけにえに勝るなり。(一二の三二—三三)
我わが心を盡し、萬人よろづのひとのひとしく用ゐる言葉にて、この新なる恩惠めぐみふさはしき燔祭はんさいを神にさゝげ 八八—九〇
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
なんじの愛する独子ひとりご、すなはちイサクをたずさへ行き、かしこの山の頂きにおいて、イサクを燔祭はんさいとしてささぐべし。
(新字新仮名) / 太宰治(著)
そしてその家庭は夫婦兄弟姉妹相和して平和みなぎるの状態にあり、ことにヨブがその子の教育において誤らず、祭壇を設け自ら祭司の職を取りて子女の赦罪のため燔祭はんさいささぐる如き
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
「これはあのちょび髭だけじゃないんだぜ、多かれ少なかれ男はみんな同じなんだ、昔も、今も、これからもさ、……男はみんな女どもによって燔祭はんさいにあげられる小羊なんだぜ」
陽気な客 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
と云うのは、だいいち十四郎の気性が、粗暴になってきて、血腥ちなまぐさい狩猟などにふけり、燔祭はんさいの生き餌までも、手ずからほふると云ったように、いちじるしい嗜血しけつ癖が現われてきた事だった。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
そは汝らが我につきて言述いいのべたる所はわがしもべヨブの言いたる事の如く正しからざればなり、されば汝ら牡牛おうし七頭、牡羊おひつじ七頭を取りてわが僕ヨブに至り汝らの身のために燔祭はんさいささげよ
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
往古むかし神はアブラハムを試みて、約束の子イサクを燔祭はんさい犠牲いけにえとして要求し給うた。
神は犠牲や燔祭はんさいを求め給わない。神の求め給うものは心です。キリストのため、福音のために迫害苦難を受けても変わらぬ真心です。家や富を棄てるのは、神様に心を差し出したしるしです。
なんじまた燔祭はんさいをも悦びたまわず
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)