煽動おだて)” の例文
が、平生は至つて口少なな、常に鷹揚に構へて、部下の者の缺點は隨分手酷くやッつけるけれども、滅多に煽動おだてる事のない人であつた。
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
爾して其の心で時々余を煽動おだてて、暗に自分の密旨を手伝うて呉れろと云う様に勧め、猶其の上に、或る時は他人の事の様に夏子の事を物語り
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
同盟罷工と言えばまるでお祭騒ぎでもしているように花々しいことに思うのが第一気に喰わねい、よしんば煽動おだてたにしろ、また教唆そそのかしたにしろ
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)
「貧窮組」というのもおかしなもので、誰がもくろんで、誰が煽動おだてたともないうちにこうして大勢が集まって、町内から町内へと繰込んで行くのです。
猶だ勉強盛りなのを中途で学校をやめて、(いゝや落第したのださうだ)、平凡へぼ文学者の煽動おだてに乗せられて自分は文学のパトロンとなるなどと高言しおらるゝさうだ。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
女の集まったところでは、一方ではああやって煽動おだてて置いてね、承知してもしなくっても、話をずんずん進めて行かないと、ことはまとまらないからね。‥‥だけれど君、うまく行った。
遠野へ (新字新仮名) / 水野葉舟(著)
旦那だんなさまだとて金滿家きんまんか息子株むすこかぶ藝人げいにんたちに煽動おだてられて、無我夢中むがむちゆうかれつとはことちがふて心底しんそこおもしろくあそんだのではありますまい、いはゞ疳癪かんしやくおさへ、らしといふやうなわけ
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
が、平生は至つて口少なな、常に鷹揚に構へて、部下したの者の欠点あらは随分手酷くやツつけるけれども、滅多に煽動おだてる事のない人であつた。
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
先年大宮で同盟罷工ストライキがあってから、一時社会では非常にあの問題がやかましかったが、労働者はそう世間で言うように煽動おだてて見たところで容易く動くものじゃあない、世間の学者なんという奴らが
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)