煮豆にまめ)” の例文
煮豆にまめが切れたから、てっか味噌みそを買って来たと云っている。豆腐とうふが五厘高くなったと云っている。裏の専念寺でゆうべ御務おつとめをかあんかあんやっている。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「まだ巳刻よつ前だよ、良い兄さんが髷節まげぶしほこりを附けて歩く時刻ぢやないよ。それに氣組が大變ぢやないか。叔母さんとこの味噌汁みそしる煮豆にまめぢや、そんなはづみがつくわけはねえ」
かえって少しの光や音や動きやは、その静かさの強みを一層強く思わせる。湿りを含んだランプの光の下に浮藻うきも的生活のわれわれは食事にかかる。佃煮つくだに煮豆にまめ漬菜つけなという常式じょうしきである。
水籠 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
「へーい。」とやつこが、つゝんだつゝみを、ひよいとをんなわたしながら、引込ひつこめず、背後うしろたなに、煮豆にまめ煮染にしめものなどを裝並もりならべたたなしたの、賣溜うりだめの錢箱ぜにばこをグヮチャリとらして、銅貨どうくわ一個ひとつ
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)