)” の例文
新字:湿
そのれた小犬を山の上の掛茶屋の柱に鎖で繋いでおいて、二人は踏んでも歩けそうな目の下一面の若楓を眺めて半日暮らしたりした。
木乃伊の口紅 (旧字旧仮名) / 田村俊子(著)
ほのほしたをくゞるときは、手拭てぬぐひにて頭部とうぶおほふこと。手拭てぬぐひれてゐればなほよく、座蒲團ざぶとんみづひたしたものはさらによし。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
家を𢌞めぐる樹木のれた木の葉の面は一枚々々滴る雫と共に黄金こがねのやうに輝いてゐる。
歓楽 (旧字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
庭先には杜若かきつばたの咲いてゐる池があつて、腰元の幽靈はその池の底から浮き出したらしく、髪も着物も酷たらしくれてゐた。幽靈の顔や形は女小兒をおびえさせるほどに物凄く描いてあつた。
半七捕物帳:01 お文の魂 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
「その時堂の中はれてゐたと言ひましたね」
船の中からみのるは思ひ出の多い堤を見た。櫻時分の雨の土堤にはなくてならない背景の一とつの樣に、茶屋の葭簀よしずれしよぼれた淋しい姿を曝してゐた。
木乃伊の口紅 (旧字旧仮名) / 田村俊子(著)
花見の人々れながら走り出で、上下かみしもへ入る。みな/\空を見る。
箕輪の心中 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
けむりかれたら、地面ぢめんふこと、手拭てぬぐひにて鼻口はなくちおほふこと。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
熊藏 おれはずぶれ、どうせ自棄やけだ。
箕輪の心中 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
娘二 いつそもうれて歸らうか。
箕輪の心中 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)