漂着ひょうちゃく)” の例文
かれら一味は、ケートさんやぼくが、きみらといっしょにいると思わないから、諸君がかれらの漂着ひょうちゃくしたのをまだ知らないつもりでいる。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
いつもマッチやライターが手近にある生活になれていたので、この絶海ぜっかい孤島ことう漂着ひょうちゃくしても、そんなものすぐそばにあるようなさっかくをおこしたのだ。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ヴィタリス老人ろうじんは、よく難船なんせんした人の話をした。ある話では、なにも食べ物のないはなれ島に漂着ひょうちゃくした船乗りが、船のボーイを食べてしまったこともある。
いそに漂着ひょうちゃくしたる丸太や竹をはりけたとし、あしむすんで屋根をき、とまの破片、藻草もぐさ、松葉等を掛けてわずかに雨露あめつゆけたるのみ。すべてとぼしく荒れ果てている。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
私は、中川教官に、龍睡丸が遭難して、太平洋のまんなかの無人島に漂着ひょうちゃくしたときの話をしていただきたいと、たびたびお願いをしていたが、それが、今やっとかなったのであった。
無人島に生きる十六人 (新字新仮名) / 須川邦彦(著)
むりもない、この島に漂着ひょうちゃくしてからここに二年、そのあいだ一行がほかの人間を見るのは、いまがはじめてである。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
その鞄は、執念しゅうねん深いというのか、海上をただよううちに海岸へ漂着ひょうちゃくした。元村もとむら桟橋さんばしのすぐそばであった。
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「まず順序じゅんじょからいうが、ぼくらが第一番に漂着ひょうちゃくした港は、船の名にちなんで、サクラ湾としたいと思うがどうだ」
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)