すま)” の例文
床の上へ起き直ッて耳をすまして見ると、家内は寂然しーんとしていて、ねずみの音が聞えるばかり……自分はしばらく身動かしもせず、黙然としていたが,ふと甲夜よいに聞いたことを思い出して
初恋 (新字新仮名) / 矢崎嵯峨の舎(著)
磨ぎすましたる三日月は、惜しや雲間に隠れき、ゆかりの藤の紫は、厄難いまだ解けずして再び奈落に陥りつ、外よりきたれる得右衛門も鬼の手に捕られたり。さてかの下枝はいかならん。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
心愈〻亂るゝにれて、亂脈打てる胸の中に迷ひの雲は愈〻擴がり、果は狂氣の如くいらちて、時ならぬ鳴弦の響、劍撃の聲に胸中の渾沌をすまさんと務むれども、心茲にあらざれば見れども見えず
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
牛肉はすまじるへ入れるよりも味噌汁へ入れた方が良いようですね
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)