まざ)” の例文
奥の部屋では客と主人のまざり合った笑声が起った。お種は台所の方へ行ったり、吾子わがこの側へ行ったりして、一つ処に沈着おちついていられないほど元気づいた。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「はっははは、しかし可愛いだろ、こんなのは余興だけど家にゃ素晴らしいのがいるぜ、犬の王者のセントバーナードのもいる、こいつは少し、まざっているかも知れんが」
睡魔 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
即ち友染は色がまざって居るがため、其の女の色の白いと然らざるとに論無く、友染の色と女の顔の色とに調和するにまでの困難は感ぜぬ。緋縮緬に至ってはにあらざることは前に述べた。
白い下地 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
俺はまざらないとこばつかり感じてゐなけあならなくなつてるんだ
玩具の賦:昇平に (新字旧仮名) / 中原中也(著)
夜の九時頃には、私はひとり電燈の下に椅子に腰掛けてお房の烈しい呼吸の音を聞いていた。えがたき疲労、心痛、悲哀などのまざり合った空気は、このゴロゴロ人の寝ている病室の内に満ちあふれた。
芽生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
利得と幸福とは大体はまざ
玩具の賦:昇平に (新字旧仮名) / 中原中也(著)
だが究極ではまざりはしない
玩具の賦:昇平に (新字旧仮名) / 中原中也(著)