流灌頂ながれかんちょう)” の例文
一ツ目小僧の豆腐買は、流灌頂ながれかんちょうの野川のへりを、大笠おおがさ俯向うつむけて、跣足はだしでちょこちょこと巧みに歩行あるくなど、仕掛ものになっている。
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ひと小僧こぞう豆腐買とうふかいは、流灌頂ながれかんちょう野川のがわへりを、大笠おおがさ俯向うつむけて、跣足はだしでちよこ/\と巧みに歩行あるくなど、仕掛しかけものに成つて居る。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
まじまじと控えた、が、そうした鼻のさきの赤いのだからこそけれ、くちばしの黒い烏だと、そのままの流灌頂ながれかんちょう
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
……流灌頂ながれかんちょう——虫送り、虫追、風邪の神のおくりあと、どれも気味のいいものではない。いや、野墓、——野三昧のざんまい、火葬のあと……悚然ぞっとすると同時に、昨夕ゆうべの白い踊子を思い出した。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さながら、水から這上った流灌頂ながれかんちょうのごとく、朦朧もうろうとして陰気に見える。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
山の中の、かかる処に、流灌頂ながれかんちょうではよもあるまい。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)