洗晒あらひざら)” の例文
縞目も見えぬ洗晒あらひざらしの双子ふたこの筒袖の、袖口の擦切すりきれたのを着てゐて、白髪交りの頭に冠つた浅黄の手拭の上には、白く灰がかゝつてゐた。
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
そのなかでもとりわけ立派りつぱ總縫模樣そうぬいもやう晴着はれぎがちらと、へいすきから、貧乏びんぼう隣家となりのうらにしてある洗晒あらひざらしの、ところどころあてつぎ などもある單衣ひとへものをみて
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
洗晒あらひざらしの伊予絣いよがすり単衣ひとへを着て、白い木綿の兵子帯を締めた貢さんは肩を並べて腰を掛けた。お濱さんは三つ年上としうへで十三に成るが、小学校は病気の為におくれて同じきふだ。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
腰までしかない洗晒あらひざらしの筒袖つゝそで、同じ服裝なりの子供等と共に裸足はだしで歩く事は慣れたもので、頭髮かみの延びた時は父が手づからつて呉れるのであつた。
二筋の血 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)