泡盛あわもり)” の例文
明くれば元旦というわけで、正月付の手紙だったか電報だったかを、彼の北の端の岬の若夫婦に出し、泡盛あわもりを送ってやった。
故郷七十年 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
昼夜銀行の横を曲って、泡盛あわもり屋の前をはいった紅殻べんがら塗りの小さいアパート。二階の七番と教えられて扉を叩く。何もないがらんとした部屋なり。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
泡盛あわもりだとか、柳蔭やなぎかげなどというものが喜ばれたもので、置水屋おきみずやほど大きいものではありませんが上下箱じょうげばこというのに茶器酒器、食器もそなえられ、ちょっとした下物さかな
幻談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
その男と話しているうちに、何かの拍子ひょうしから、話は琉球の泡盛あわもりのことに移った。最近その泡盛を飲ませる店が、この風呂屋の向横町むこうよこちょうに出来て、一杯売をしている。
南蛮は無釉のもので主として泡盛あわもりかめを作ります。形が立派で仕事に申し分がありません。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
「こりゃ宿酔ふつかよいだ。昨夜泡盛あわもりを、そうだ朝野君に教えてもらった泡盛屋で飲みすぎて……」
如何なる星の下に (新字新仮名) / 高見順(著)
但し、すーうと胸にたまらず、頭に上らず——毒にもならず、薬にもならずというところでげすから、泡盛あわもりよりは軽い意味に於て、将来、こりゃなかなか一般社会の飲物として流行いたしやしょう
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
えりきなおして両眼とじ、おもむろに津軽なまり発したいところさ、など無礼の雑言、かの虚栄のちまたの数百の喫茶店、酒の店、おでん支那そば、下っては、やきとり、うなぎの頭、しょうちゅう、泡盛あわもり
創生記 (新字新仮名) / 太宰治(著)
片肌ぬぎに団扇うちわづかひしながら大盃おほさかづき泡盛あわもりをなみなみとがせて、さかなは好物の蒲焼かばやきを表町のむさし屋へあらい処をとのあつらへ、承りてゆく使ひ番は信如の役なるに、その嫌やなること骨にしみて
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
日々の生活に用いる茶碗とか皿とか鉢とかはいずれも皆「上焼」でありまして、「南蛮」の方は主に泡盛あわもりかめこしらえます。これらの焼物は一見して他の国のものと違うほどその特長を示します。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
泡盛あわもりいこうじゃないですか」
如何なる星の下に (新字新仮名) / 高見順(著)