決定きま)” の例文
貴所といえども既に細川の希望が達したと決定きまれば細川の為めに喜こばれるであろう。又梅子さんの為にも、喜ばれるであろう。
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
(心配気に)女子の心が俺の方へ従うか、誘惑の主に従うか、総て、明日の晩、あの音楽堂の中で決定きまると云うことさ。
レモンの花の咲く丘へ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そこでおれが心も決定きまり、家庫を金銭かねにして、東京へ引越したその後は。我が出所をば知られじと、籍も移して家も買ひ、身持律義にしてゐたれば。
移民学園 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
私達もそれを見ますと直ぐにも抱き上げて頬擦りしてみたい衝動で一パイになるのですが、まだどっちの子とも決定きまらない以上どうする事も出来ません。
霊感! (新字新仮名) / 夢野久作(著)
だが、そのときはもうあなたの体は、公園に出るといふことに決定きまつてゐたのでした。
井上正夫におくる手紙 (新字旧仮名) / 久保田万太郎(著)
今回協会の奨励金しょうれいきんを貰って、旅順りょじゅん大学の東京派遣研究班が、主として音響学について研究するということに決定きまったそうで、それには実験室を建てねばならないが、適当な地所が見付からないために
振動魔 (新字新仮名) / 海野十三(著)
明日あす明後日あさつて明々後日やのあさつて」と女は指を折つて、「明々後日やのあさつて決定きまつたの。然しね、私は今になつて又氣が迷つて來たのよ」
少年の悲哀 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
大公儀からのお咎めのかからぬうちにと言うて至急に蔵元屋をお取潰しの御評議が決定きまりましたとの事で、最早どうにもならぬと言う良助さんのお話……
今夜で私の運命が(と言葉を切り)決定きまってしまうのじゃないかえ。
レモンの花の咲く丘へ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
妙なものでこう決定きまると、サアこれからは長谷川と高山の競争だ、お梅さんは何方どっちの物になるだろうと、大声で喋舌しゃべ馬面うまがおの若い連中も出て来た。
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「貴殿の御縁辺の話は、まだ決定きまっておらぬげなが、程よいお話でも御座るかの……」
斬られたさに (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「ほほう、それも決定きまっているのか」
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
愈々いよ/\何日いつ決定きまつた?」と女の顏をぢつと見ながら訊ねた。女は十九か二十の年頃、色青ざめても力なげなる樣は病人ではないかと僕の疑つた位。
少年の悲哀 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
ドウセ治癒なおらぬ病気と決定きまれば。医師に見せるは体裁だけだよ。棄てに来るのが本当の腹だよ。生きて生き甲斐ないこの病気。どうぞよろしく頼みますると。頼む挨拶ウラから聞くと。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
酒を飲まないやつは飲む者にへこまされると決定きまっているらしい。今の自分であってみろ! 文句がある。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
……面白いな……いよいよソンナ事に違いないと決定きまれば二人の博士が私のかたきだろうが味方だろうが、その二人が私にかけているダマシの手段が、如何に巧妙な恐ろしいものであろうが
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
側で溜息くかと思えば。里の方から迎えに来るのを。待っていたようにハイチャイめ込む。それもまだまだ最極上だよ。医者に患者を渡すと間もなく。部屋がどこやら決定きまりもせぬうち。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「内務省に出る事に決定きまりました、江藤さんのお世話で」
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
という話が決定きまった。
ビール会社征伐 (新字新仮名) / 夢野久作(著)