永蟄居えいちっきょ)” の例文
あの江戸駒込こまごめの別邸で永蟄居えいちっきょを免ぜられたことも知らずじまいにこの世を去った御隠居が生前に京都からの勅使を迎えることもできなかったかわりに
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
蜂須賀家の申しひらきが幾分か立って、あやうく断絶のをまぬがれ、重喜しげよし永蟄居えいちっきょだけで、一大名の瓦解がかいを見ずに落着したのは、まったくその時
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
村山享書は永蟄居えいちっきょ食禄しょくろく半減はんげん。野口行之助は改易かいえき和泉図書いずみずしょは親族預け、食禄三分の一減。笠井十兵衛は永蟄居、食禄半減。その他——ということであった。
艶書 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
○同八月二十八日、一橋慶喜隠居慎み、水戸烈公水戸表へ永蟄居えいちっきょ、水戸慶篤卿差扣さしひかえ、岩瀬、永井職禄を奪い謹慎、川路隠居慎み、太田備後守慎み。(この日死因処断多し)。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
正月十七日、庄兵衛は城へ呼びだされ、閉門永蟄居えいちっきょと、家禄かろくの内百石の削減を申し渡された。伊原友三郎を匿い、その逃亡を助けたことが重科に当る、というのである。
十八条乙 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
その他安政大獄当時に幽屏ゆうへいせられた諸大名も追い追いと謹慎を解かれる日を迎えたが、そういう中にあって、あの水戸の御隠居ばかりは永蟄居えいちっきょを免ぜられたことも知らずじまいに
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「第一条から第八条まで、江戸家老以下の政治壟断ろうだん、私曲秕政ひせい、収賄涜職とくしょくの事実が挙げてある、これを明日、おまえが御前で読みあげ、記してある重職五名それぞれ永蟄居えいちっきょ、閉門、追放を申渡すのだ」
若殿女難記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
あるものはまた、隠居、蟄居ちっきょ永蟄居えいちっきょ差扣さしひかえというふうに。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)