水勢すいせい)” の例文
お話跡へ戻りまして、井生森又作は清水助右衞門の死骸を猿田船やえんだぶねに積み、明くれば十月三日市川口いちかわぐちへまいりますと、水嵩みずかさ増して音高く、どうどうっと水勢すいせい急でございます。
岩壁がんぺきの一たんに、ふとい鉄環てっかんが打ちこんであり、かんに一本の麻縄あさなわむすびつけてあった。で、そのなわはしをながめやると、大きな丸太筏まるたいかだが三そう、水勢すいせいにもてあそばれてうかんでいる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
源吉げんきち龍夫たつお二人ふたりが、豪雨ごううあとのこと、いまにもギイギイとって、水勢すいせいのためにながされそうなはしのたもとで、水面すいめんつめていると、いくつもあかいトマトがきつしずみつしてきました。
台風の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
四人はともするとおしながされそうな水勢すいせいの中に、かたくだきあっていた。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)