毒手どくしゅ)” の例文
もし彼らの毒手どくしゅから免るる事が出来たならば実に彼らの兄弟喧嘩で私が拳骨一つ喰ったのが誠に好い仕合せであると思ったです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
かれをやぶってかれの毒手どくしゅ同志どうしのひとりをわたさなければ、それでいい。つまりここで徳川家とくがわけ代表者だいひょうしゃとあらそうのはその方便ほうべんでしかないわけだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ぼくはどうかして海蛇うみへび毒手どくしゅからのがれようとたんをくだいた、が、かれらはなかなか厳重げんじゅう警戒けいかいして目をはなさない、時機を待つよりしかたがない
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
老人の毒手どくしゅが待っているのです、むすめの姉は跛の醜い女でしたが、七本の短剣を使うのです、あとから後から空に投げあげるさまが、魔神の手がそれを手伝うように思われたのです、私が往った時
港の妖婦 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
福田氏惨殺犯人の毒手どくしゅ
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「ウーム! さてはお父上には、早くも毒手どくしゅちたもうて、桑名へさしたてられるご武運ぶうんすえとはおなり遊ばしたか、……ああ、おそかった……」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いいえ、ゆかしてください、わたしは一度かれらの毒手どくしゅからのがれることができました、これは神さまが味方してくださったからです、わたしは信じます、そして、あの温良なイバンス運転手を
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
小角のひとり娘の咲耶子さくやこは、あやうく父とともに、かれの毒手どくしゅにかかるところだったが、せつえぬ七、八十人の野武士もあって、ともに裾野すそのへかくれた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)